折り上手
心が折れた瞬間、また気づいてしまった。わたしではない人の。仕事を組んでやってる人の。わりと心っておれるんだなぁポッキンポッキンと。折ってきたのはわたしのを折ったのと同じ人だったから、たぶん、なんかプロなんだ、そうゆうのの。
また冷え込んできて足先の冷たさにきゅるきゅると芯が和紙になって縮こまっている感じがする。寂しさでも悲しさでもいらだちでもない気持ちがある。湯たんぽは今年はもうおしまいと決めたので出すわけにはいかない。担当美容師は冬物のコートをクリーニングに出したといっていた。そういうんだ。
中庭の桜が踊り場のたびに、二階、三階、四階と見せる角度を変えて花見に立体感を持たせてくれていたのが、雨のせいなのか上の方から花びらが落ちていって、上から見たときには欠席が目立つしみんな下を向いているし濡れた細い枝の間から厭らしい緑がにょきにょき顔をのぞかせていて気持ち悪いと思ってしまった。