紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


nice to meet bagel

 

パンを焼く者ではあったけど、ベーグルに手を出すのははじめてだった。いろんな方法があるのだろうけど参考にしたレシピは牛乳つかわず油つかわずだった。パンと比べて砂糖も控えめ。だからか生地がさらさらしていてねとつく感じがなく捏ねていてきもちがよい。10分ほど力強く捏ねよの指示のもと黙々と生地と向き合う。はじめの粉っぽさがまとまってきてでもそれではまだまだ固く、しかしいつしか生地がやわらかくなっていることにはたと気づく。生地の質の変性、明らかな飛躍、進化、変化、思春期から青年になるようなうまれかわりを掌の丘で感ずる。いつかはわからない、その瞬間があったかなかったか、しかし確実に別のものとなるこの新しさを好もしく思う。レシピでは30分と書いてあったのが気づけば三時間が経とうとし(2セットやったのだけど!)、フルーツをまぜた二回目はうまく輪にならなくてカブトムシの幼虫みたいになったのが同居人にめっちゃうけた。味はよかった。初回なのに挑戦したがる悪いくせ。でもやめられない。柄の服ばかり着てしまうのと似ている。パンづくりと比べることで気づきが多かった。あと、捏ねの過程で癒されていると感じた。前述の変性みたいなものをうけとめられたのも関係があるのかもしれない。蒸しパンとかつくってみたけど、それはあんまり癒されなかった。つくるのは楽しい。食べるのは楽しい。食べられるものをつくるのは最高ではないか。三時間ふんふんやっていて、クラシックを聴かせた生地、ラップを聴かせた生地、岡村ちゃんを聴かせた生地エトセトラエトセトラの想像ももした。