紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


耳をすます

月に一度の全員出勤の日の休憩に同僚4人でやけくそみたいに駅前のロイヤルホストに行った。通常運転に戻る前日だ。感染者数はどんどこ伸びていて笑えない。この状況がはじまってすぐの頃にもこのロイヤルホストには4人で来ていた。そのときは非常事態にどこか浮き足だっていた。ずっと忙しかったのから解放された気さえしていた。

そのときは正真正銘4人だったわたし達だけど、4月に入職してきた人がいて、でも彼女は昼食の約束をしているといってべつに休憩をとりにいってしまった。4という数はレストランのテーブルを占めるには最高だ。こじんまりとしながら、全員の顔を見られる。通された奥の席は混んでいて、みんなマスクをとって叫ぶようにしゃべっていた。

わたしたち、家族みたいに見えますかね、というのは自然に思ったことだったけど、それを尋ねてみたのは自然ではなかったかもしれない。隣に座っていた先輩女性はにやっとして、それでもいいよ、といった。向かいに座っていたおじさん(同僚)は、聞き取れなかったから、ん? という顔をした。この場にはいない新人さんのことがよぎった。彼女は先輩女性と折り合いが悪くて、それは彼女の愚痴によって全員が知っているところだった。わたしは両人とも好きなのだけど、どちらにもいい顔をしているようで、自分のずるさというものがあるとしてそれを憎らしく思う。

なんとなくわたし達はまるになるような気もするが、それは誰かが(または全員が少しずつ)妥協したうえでのまるなのだろうか。へんな形の図形でもいいように思うが、わかりやすい調和に収束していく力がどこかではたらいているような気がして注意をするが、自分にそれを止める力があると思えないまま耳をすましている。