紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


だれかの春が

少しだけ。

 

 

作戦はなかなかうまくいかない。同時にねむって同時に起きても(そんなことはほとんどないけれど)夢はばらばらなのだった。でもばらばらなりにその話をしたり聴いたりするのは楽しい(からいい)。会えなさ過ぎて待ち合わせ場所がざっくりしすぎてきたことが最近の難点。まあいいんだけど。

 

帰り道で信号待ちなんかしているときに大きめの道を照らすオレンジの街灯のつらなり、行き過ぎるくるまくるまの音、目をつむって耳をすますと昔きいてた夜の音がして、かれらは「暴走族」とか言われて、わたしたちいとこ一同は暴走族の音をおぼえた。網戸のない窓をあけはなった都会の田舎の夜のしめった温度をきんと冷えたこの夜に感ずる。膚はつめたい。ほお骨が一番ひんやりとする。

 

いいよと言われてたドラマ、当時はハイハイって感じで最後の二回だけ流し見してたのを坂元裕二(さん)の色眼鏡でみたら、ははーん、なるほどーってなって見事にはまっているんだけど、それを伝えたい相手はもういないんだよなっていうのが着地になってしまう。あなたのいない春がくる。代わりにだれかのいる春だ。