紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


ヤクキミとヤクワタシ

少し前なのだけど同居人と旅に出て、屋久島は住所が鹿児島県の熊毛郡といって、鹿も熊もいる良い地名であった。飛行機で離島へ、さらに縄文杉まで行くのに往復十時間歩くって相当なもの好きであると思うのだけど、そのもの好きはわれわれ以外にも相当数いるのだった。

屋久島は観光の島であるのだろうけれど、沖縄ほどは浮かれておらず、落ち着いたところだった。島唯一のモスバーガーだけが資本社会を感じさせ、機内誌によると島に欲しい商業施設の現在の一位はユニクロとのこと(どこで服を買っているんだろう?)。食べ物はべらぼうにおいしい。やっぱりお魚。しかしご飯も野菜も果物もおいしかった。月の三十五日は雨が降ると言われている屋久島、なのだけれど、滞在中は一ミリも雨が降らなかった。月の三十五日雨が降るというのはしゃれた言い方だけれどしかし一周回った感があり、しかも結局降っていないわけだしどうしたらいいんだろう。

縄文杉に行く日は三時半に起きて暗いうちからバスに乗って登山口まで行くという修験者っぽいタイムスケジュールで、ガイドブックによるとコースタイムは十時間で、しかも少しでも遅れると帰りのバス(16時半とか)がなくなるのでタクシー会社の電話番号を控えたりとかもうおそるおそる行ったのだけど、ふたをあけてみればインドア人間ふたりでも九時間で行って帰ってこられたので縄文杉おそるるに足らず、である。

暗がりの中から太陽が見えて、朝方のひくい角度の柔らかい光が空気の色を変え、樹々を照らしてその隙間から影と光が零れ落ちているのを、また一刻一刻ようすが変化していくのがどこまでもくるおしくいとおしいのであった。朝はどこでもそんなものなのかもしれないけれど、山への中途で受け取る朝に自分がいることがとても素敵だったのだった。

でも帰ってきてから、身体のあちこちが痛くて湿布をはって見事なぽんこつふたりであった。旅行っていうか旅って感じなのだけど、われわれ二人はじめての旅ゆきであったのでもうどろどろの喧嘩などしてしまうのではと恐れていたけれど、そんな気配もまったくないままぼやぼやといつものように過ぎてしまった。平和だった。意外と喧嘩はしないんだな。 

 

屋久屋久屋久鹿屋久猿~

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屋久事故みれました

 

写真など(ヤクハナもヤクジコもあるよ!)