紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


夏の最後スケッチ

わたしが思う日記って、スケッチみたいなものなんだ。見たり感じたりしたことを筆写する。のっぺりとした記述。箇所によっては何回も筆を絵具を重ねてみたりする。ものことは等しく存在するが、その重さは場合により異なる。時間軸の処理だけが問題。

8月30日(土)

出勤。前夜が遅かったためか、寝坊さらに晴れない眠気乗らない気分。いつ早退してもおかしくないムードを醸し出して。怠惰。

八月も終わるので、立替の精算を出してくる人がいる。個人的には、この人はたいした仕事をしてないと思っていて、気分も相まって嫌だなってなる。無駄な経費って思ってしまう。もちろん、そんなことは言わない。自分がそんなこと思われてたら嫌だなー。「会社のお金だから」って唱えることでクリアー。わたしが損するわけではない。わりと有効なので今後もやっていきたい。しかし、この呪文を口にするたびに自分の中で大事なものが失われていく気がする。そんなことばかりだ。

やる気のなさを感じつつ、飲み会があるというので残った。帰りたかった。けど残った。義理でしかない。飲み会がはじまったらはじまったで、それなりに楽しいのだけど。満腹になった途端に帰りたいと思った。ちらかっている場をそのままにして帰りたかった。しかしそこは小心者なので、ざっと片付けて。

メンズはかたづけなくても何も言われないし思われないけど。ラスト女性のわたしは片さないとやっぱまずいよってなる。帰りたかったら帰ればいいんだけど。べつに怒られる職場じゃないけど。やらないで帰って気まずい上に、次来たときに中途半端な片づけにいらいらするのは無意味と思ったから、せめて自分の気の済むくらいの綺麗さにすることにした。性格でもあるけどね。将来の自分が気分よく生活できるようにすることは肝要だ。

余興とかいって、二人羽織を披露された。笑ったけど内輪だし、外部の人がみたら、いじめなんじゃないかとギョッとするような気がした。でも斜に構えて格好つけて何もしないよりは立派だと思った。コミュニティとはそういうものだといえばそう。そして、わたしは今のところこのコミュニティの一人であるのだ。

綺麗にして最後はニムトお邪魔者というカードゲームをした。

ニムトは配られた手札(数字のみ)を出してく、運と多少の戦略のゲームで、ストレートに楽しめる感じ。お邪魔者は良いドワーフと悪いドワーフ(お邪魔者)に分かれて、宝まで炭鉱を掘ったり邪魔したりという役割ありのゲーム。初対面の人でやるのはストレス高そうだけど、気心の知れた人でやるのは楽しかった。素の性格で邪魔してくる人とかいた。

今回はじめてやったのだけど、「役割」って難しいなぁと思った。運よくというか、毎回良いドワーフの役だったので悩まずに済んだけど、お邪魔者の役になっても邪魔するプレイはしない(できない)気がした。なんで邪魔するのか全然わからないんだもん。「『ゲーム』で『役割』だから」って言われてもなんだかなぁと思いそう。性善説。メンツによって全然違うんだろうなぁ。「役割だから」つって、邪魔するのに徹せられる人たちもいるだろうし。自分がその役になってみないとわからない。

いい加減つかれたので、今度こそ散会。文句を言いながら最後までいる人になってしまった。飲み会あとのなんとなくだらだらした空気が好きでないので、どんどこ帰らせる。終わったらさっと帰りたいのって少数派なんだろうか(終わってなくてもさっと帰りたいのだけど)。

神様(同居人)は出かけていて帰ってこないので、じっくり湯につかって、録画をいくつかみていたらひどい時間になってしまった。物語が終わりそうで終わらない瞬間をみとめて、「なんだそれ」とつぶやいた。お酒をのんだあとは、できたらすぐに寝ないでアルコールを分解させてから寝る方がいい気がしている。

8月31日(日)

不思議な夢をみて起きた。二度寝をしてまた起きた。気温は高くないものの、空が明るいので洗濯機をまわした。簡単に朝食をとって、掃除もした。眠気をもてあそんでいると、昼ごろに神様が帰ってきた。簡単に話をきいたあと、気がついたら夕方まで眠っていた。いつもは昼寝をしない神様も寝ていた。昨日疲れたんだなと思った。

少し肌寒いくらいで、でも空は青く澄んでいてそこだけは夏みたいだった。一度だけ、すごく大きな声でセミが鳴いていた。ベランダか近くの木に止まっていたんだろう。追い払う気にはならなかった。怠惰で夏休みらしい日だった。

洗濯物を取り込もうとベランダに出たら、ちょうど夕方のチャイムが聞こえた。音楽がディレイして輪唱になっていた。今まで気がつかなかった。山も高い建物もほとんどない場所だけど、どこかで音が跳ねているのだった。洗濯物は冷えていて、乾いているのかよくわからなかった。

そして驚くべきことに、わたしはまだまだ眠気に包まれていた。夜は秋の虫が鳴きはじめている。