紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


糖衣の極限

 

入浴、どれだけ時間をかけても手順をこなしていればいつか終わってしまった。ことだけど、きょうにも「終わり」はあるけれどお風呂のときみたいな明確な区切りはなく、ぬるりとあした、もしくは新たなきょうに突入。沸かしたてのお湯は熱く、冷ましているあいだにぬるくなりそれはもはやお湯といえない。それでのんだ糖衣はあまく、もうちょっと口の中にいれておきたいんだけど、むかしなにかの糖衣錠をいつまでもなめていたら突然の叛乱、苦さの爆発、というのが頭をかすめすぐにのみこんでしまう。糖衣の極限、行ってみたいのだった。

 

出かけて、ちょっと元気になるけどやっぱり本調子じゃなくてよくなかった。あまりにも久しぶりだからか反発心みたいのが出て、わたしは変わるのだとかとなえたりしたけど、このやさしい人たちを、わたしは棄てるのか、とか思う。し、やさしいだけじゃなくて野心みたいのもあって、けっきょく普通の人じゃんって思ったりしてつらくなったりもする。この人たちは特別な人たちではない。仕事と余暇と趣味がかけ離れすぎていてつらい、というのか、どこでも別の顔をしようとして(それは当然のことだともいえる)、乖離に混乱している。どれもそれなりに正しいの、自分のなかで統一しようとしてつかれているのかもしれなかった。去年までは別の顔をもって生きるのだぞとか思ったりしていたけれど、これからは、ともかく今年は、統合もしくはいくつかを選ぶのかもしれなかった。どれも並列にあつかえる性格だったらとうにできている気がするし、思うより不器用なんだろう、わたし。

ひかり/スポーツ探偵

バスの運転手の後ろの席が好きだ。ちょっと高いとこ。ICカードの残額をみとめた首をひねりがてらそこがあいてるのが見えて身体が変な感じにねじれて、よいしょ、そこに座っていた。服装をちょっと直す。とくになにも考えず反射的に座れてしまっておどろく。反射だ。バスの座席反射。運転席との間は透明な板で区切られていて広告がかかっていた。運転手の側からは上着をかけたりしてあってちょっとした個室みたいだ。ネットカフェとどっちが広いだろう。なにもないところから運転席をのぞく。すべてが大きく、うーん、バスの運転、ちょっと楽しそうよねぇ。そして日光がきらりきらりと跳ねていてわくわくしちゃうよ。ひかり! ひかり! ひかり!!

 

 

チョコレートたくさん食べたからエネルギーがあまっているからやれる。わたしはやれる。とっても寒いけどやれる。夕食の準備をすませて、お風呂にお湯をためはじめてタイマーをかける。下だけ登山用にしている派手なハーフパンツに換えて、これまた派手なウィンドブレーカーを羽織る。普段使いでない方のニット帽B、登山の夏用グローブも見つけた。じつは持ってるナイキのスニーカーなんぞ履いてみて外へ飛び出す。完全にありあわせなこと知っているのはわたしだけで、たぶんジョガーに見えている。本当はどう見えているか、わたしは知らない対称性。家の側には遊歩道があって、人・自転車・犬等々の行き交い、その中にいるジョガーのひとりになってしまった。「走っている人」ってそれだけで思考停止される存在なのかもと気づいたのがひとつ。スポーツ的服装は多少おかしくても何も思わない。ちょっと変な動きをしていてもそういうトレーニングなのかなと思われる。完全な擬態を発見。今後の変装はスポーティブで決定。全国あまねくジョガーに感謝。みなさんのおかげです。

 

走ってる人どこにでもいるよねぇ、っていうのと、でも一度走ってみたら走ってる人のことが気になりだしたので(こちら側にきてしまった!!)、スポーツ探偵には完全犯罪見破られそう。