紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


ハムの色

ほんじつはなにかのはざまにおるようなこころもち。三時ごろにふとベランダのガラス戸をあけてみたら痩せたハトがプランターに顔をつっこんでいた。わっとかいって、お互いにおどろいた。わたしとハトは同じ顔をした。携帯をとりにいった間に彼奴は手摺の上に上がっていて、わたしが写真を撮り、いくどか顔を見合わせたあとに近くの樹に飛び移っていった。ハトもミョウガを食べるのかしらん。等。

それで思っていたより暑くなかったので窓を網戸にしてエアコンを消した。一度入れてしまうと節約のために締めきってしまって外界のことがまったくわからなくなるのがエアコンのよくないところだと思う。死なない程度ならば暑いのは嫌いではない。夏か冬かときかれたら冬を選んでしまうのだけど、季節の季節らしさってわりと素直に好きだなと思う。

雨が降り終わった後にセミがじりじりと鳴きはじめ、夏になったことがわかった。季節はときどきで匂いがするのだけど、それがどれも同じなのかわからない。わたしの身体も精神も季節ごとなにかのはざまに落ち込んでしまっていて時間から切り離されてしまった夏なのに夏らしくない夕方に同化してだれにも写真に撮られないぼんやりとした薄暮れになってしまう。ハムの色の。