紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


盆踊り

お盆って八月よねという気がしたが、盆踊りはたぶん各地でおこなわれている。この、梅雨の空の下で。記憶をさぐってみたが盆踊りに参加した記憶は一切なく、紅白幕に包まれた櫓を囲んだ人々が二重か三重になってぐるぐると回っていた。かき氷や焼きそばの屋台が出ていて人が大勢並んでいる。肉を焼く油まじりのグレーの煙に何かを思い出しそうになる。

曲はいくつもあって、定番であろう何とか音頭からアニメ由来のものやAKB、USA(DA PUMP)まであって、多彩さに驚く。といっても曲数は十もなくて、何度も同じものがかかった。何の盛り上がりもない循環を何時間も踊り続ける人たちのことを思うとぞっとして涙が出そうだった。そこには時間がないのが正しい作法という気がした。「最後の曲です」とアナウンスが流れ、曲順で先ほどもかかってた曲が流れる。実行委員の誰かは櫓に乱入し、周囲にいた人もがやがやと円に加わった。死んでしまった者だって夜にまぎれてあらわれたかもしれない。浴衣も素敵だなとなんだか思った。