紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


証明写真機

急に寒くなってしまってまるで北海道、と友達が言った。髪を切る予約をして、そのときは春の気持ちだったけどもう寒い寒いだから春っぽく切れないかもしれない。髪を切って、もしかしたらくるくるパーマにして写真を撮ろうとか思ってたから頭の中が春だったねやっぱりね。コートもぐんぐんクリーニングに出してしまっていたからがんばって薄い布で乗り切る。とはいえ、真冬とくらべれば全然あたたかいんだけど。服がぺらぺらだから装備が弱いので防御力がないのだから無防備だから。

隣の駅くらいなら歩けると最近思っていて、40分くらい歩いて行ってパンとジャムを買った。特別なパンとジャムなのだ。それから近くのカフェで遅いランチをとる。図書館で借りた本を二冊持ってて、両方とも残り少しだから読んでついでに返して帰る作戦だったのに一冊しか読めなかった。読んでる途中で眠くなりすぎて、字を読んでるだけの状態になっていた。気がついたから少し戻って読み直した。隣の隣に座っていた男女が睡眠の気配を出していて(ソファに腰かけたままうんともすんとも言わなくなってしまった)、少ししてから店員に起こされていた。静かなカフェだった。窓際の席の二人組はこそこそしゃべった。赤子のなく声がして、驚いたことに午睡の男女は赤ん坊を連れてきていた。泣くまでまったく気がつかなかった。能力の高いみどりご。もう一冊はあきらめて店を出た。駅まで歩いて駅ビルにできた新しい本屋を見にいく。小さいながらも一通りそろえてきている。近ごろはよく詩歌のコーナーに行ってはえらそうに見て回る。コミックや新刊はたいていの店で同じだけど、詩歌の棚は店によって全然違う。力を入れてる(担当がいる)かどうかわかる気がする。この店は俵万智穂村弘しかなかった。一冊だけ若い人の歌集があった。それからもうちょっと歩いて自分の駅まで帰った。

コーヒー豆を買うついでに一杯いれてもらって、もう一冊を少しだけ読んだ。数えてみたら、10ページ読んで、残りは30ページだった。家で本を読むことがあまりなくて移動中に読むことが多い。最近は出かけていって読んだりもする。明日もこのまま残り30ページなんじゃないかな。髪を切ったあとにどこかでお茶を飲みながら読もう。それから今度こそ図書館に返そう。証明写真機が駅前のどこかにあると信じていたけど見当たらなかった。写真屋さんでとってもらってもいいかもしれない。