紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


滲む日

真夏に涼しいのはぜんぶ颱風のせいと思ってみて、けっきょく暑い寒いは気圧の影響で季節も大気がつくっている!! なんて考えたわけではないけど朝からうす暗くて、煮豚でも仕込みながら本とか読みたいような日だった。エアコンはしばらくつけていなくて、扇風機もつけたり消したりする。ふと思い立って食器をハイターでつけおきする。茶渋が急に気になることがある。少し開けた窓から外の様子をうかがう。雨の匂いがすれば外を見るが、まだ降っていなかった。ものことが進んでいるのかそうでないのかわからない感じの中、はっとすると音もなく雨が降り出していた。こういう雨はしつこいので、今日の外出は無理かと思い、作業に集中する。ふと降水情報を確認すると雨雲はいってしまったようだった。閉店の30分前とわかっていたけれど逡巡して、電話をいれる。「すぐ行くので」と電話で注文しておけば、閉店ぎりぎりでも準備しておいてくれる。コーヒー豆を焙煎から粉に挽くまでやっておいてくれる。家を出てすぐ、霧雨が顔をなでた。しんと自分に降り積もり滲ませられる。このくらいだと雨量計は気づかないのかもしれない。その雨は少しするとなくなった。視界もクリアー。代わりに夕方が夜に滲んでいた。お店に着くと豆は挽かれていたし、サービスでコーヒーを一杯淹れてくれる。ホットを頼んでしまって、アイスの方が早くできるのに申し訳ないとあとから思う。サービスで出してやるのに面倒なこと頼みやがって洗浄もあるのに、とわたしなら思ってしまう、から。アイスは抽出されて冷蔵庫に準備されているのだ(たぶん)。いやいやそういう思考がわたしを生きづらくさせてるんだと思い直して、あったかいの、だ~いスキ! って気持ちを持ちながら待つ。アイスコーヒーは基本苦くてガムシロップ入れるのが前提みたいになっている。ホットの方が複雑な味を楽しめるんだもの。というわけで、ホットの方が好きなのは本当。といっても、いつもより早く飲んだ。そしたらちょうど閉店時間で、なのに電話が鳴って、注文みたいで、「いつでもお待ちしてます」とか言っていて、おいおい、サービス~、みたいに思った。無理すんなよ、コーヒー屋! まだまだ頼りにしているんだ、コーヒー屋! とか思いながらさっと退出した。