紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


アリとキリギリスJK

おいおいちょっと、いいのかいって慌てるぐらいに夏がみるみると萎れていくのを見ている。一方的に見ているだけで向こうはこっちのことを気になんかしてない感じだ。四季はゆっくりと脱皮していく蛇のような円環なのか、それとも交代制でうまれて死ぬ、なのかちょっと考える。いやしかし八月。八月末。残暑。残っていない暑さ。サンマがスーパーに出ていたから食べてしまったものね。初サンマ。本調子まであと一歩って感じだったけど、といいながら目の前のサンマは死んでいて、この秋食べるだろう脂ののったサンマのことを考えるのは残酷だ。一般性と個別性みたいな話だ。

気候がぐっと変わって手持ちの衣類を見てみると、着れない、着れない、着られないが並んでいて、薄くてひらひらのシャツだのスカートやらは、わたし達もう終わりね、少し前まではあんなに近くにいたのにとでも言いたくなるような悲壮感を漂わせていて、機能としての涼しそうがあら不思議寒々しく見えてしまう。今月頭に買ったサンダルなんてまだ二回しか履いてなくて、それでも値下げされていたからマシだけど、あれもこれも夏だセールだで投げ売りされた服たちは夏の熱狂に浮かされていたから輝いて見えただけで、今となっては心もとない。続く秋のことも冬のことも考えていなかったキリギリスJKは着る服もなく、かといって新しく服を買うお金もなく、冬がくる前にがたがた凍えて死んでしまうのでした。一方、堅実なアリJKはセールなんかものともせず、目をつけていたA/Wのコートとブーツをいち早く入手、キメた格好で暮れに向かう街を歩いているのでした。ぬくぬく!

っていうのが、死にかけの夏のおじいちゃんがしてくれた昔話なんだけど!