紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


後味のよい和牛はおいしい

今年のM-1について書こうと思ったんですが、それはわたしと和牛(水田)について書くことなんだよなーという気がしている。最初に言っておくと、応援してるのはジャルジャルでした。

まず和牛なんだけど、そもそも和牛のお笑いがどうしても面白くなくて、というかつらい、(これをお笑いと呼ぶのが)ゆるせない、くらいの気持ちでここ数年いて、でもこの人たちこんなに売れっ子なので自分のセンスが合わないのかもしれないなんて思っていて。厳密にいうと、水田氏(の演じるキャラクター)が受け入れられなくて、でもその代わりに相方の川西さんがかわいく見えるので結果的にコンビとしてはトントンな印象で、そういう作戦なんだろうなと思っていて。

たぶんここで、なにが嫌なのか書いた方がいいんですけど、大体が水田氏(の演じるキャラクター)が「正しさ」で対峙する人(店員であったり恋人であるんだけど)を言いくるめるというか、聞く耳持たない感じで自分のやりたいようにやるのを、「いますよねこういう人」っていうあるあるネタなのかと思うんだけど、あるあるにしても心が痛くなるようなあるあるで、しかもその人が勝ったまま終わるので、見るたびに泣きたいやら怒りたいやらで感情がめちゃめちゃになるのだった。そういうことはままあるだろうけど、お笑いみようと思って感情がめちゃめちゃになるのは困る。あとその困った人に食い下がる(役の)川西さんが意外と健闘してるのが応援ポイントであった(まあ無下にされてしまうんだけど)。

そんなことを考えていたらM-1のはじまる数時間前になんでそんなに憎いんだろうと思ったときに、自分と似ているところがあるからではと思ってギャッとなって、わたし自身の持っている頑なさとか「正しさ」をくみ取ってほしい気持ちとかを露悪的にえがかれて同族嫌悪みたいな状態なのかもしれないと思った。べつにそうじゃないのかもしれないけど! この思いつきを同居人に話したら否定されなかったので(否定してくれー)当たらずとも遠からずなのかもしれない。と思った。

それで今年もそんな感じなんだろうと思って期待できなかったんだけど、でもそれはわたし自身なのかもしれないからとりあえず正座して見ようと新たな気持ちでふたをあけてみたら一本目はゾンビのネタで、水田氏の聞き入れなさとか頑なさがすごく上手にコンビ愛に使われていてよかった。和牛!!! ってなった。さわやかだった。後味のよい和牛はおいしい。のでよかった。二本目はだますな!! と思ったけど去年までよりは嫌じゃなかった。というわけで和牛の一本目はめちゃめちゃよかった。好きだった。安心して見られるということがどんなに幸せなことか。

ジャルジャルについては去年も書いたけど、職人的なところが好きで、なんというか、昨年はそのミニマルさを褒めたんだけど、誰しもが持っているものをあれだけ広げられるのはすごい。ゲームやってるだけじゃんっていえばそうだけど、それを舞台で思いきり楽しみながらエンタメにしてしまっている。二本目は誰しもが持ってる「(こいつより)目立ちたい」をすごく爽やかに出していてよかった。ずーっと子どもの遊びなのかもしれない。「物語」的に考えると優勝しないのはわかってるんだけど、そういうところも含めて好きだ。あと誰も傷つかないのがよい。素敵だ。あのゲーム、全国の小学生がやってたらいいのに。

優勝した霜降り明星は「現代漫才」と言われていて(漫才にも近代とか現代とかあるんだーと気づいた(そりゃあるよね))、手数の多さで無酸素状態にされて勢いで笑わされている気がした。個人的には話の流れがなくてつらかったんだけど、「新しい」んだろうと思った。ちょっとYouTubeっぽいというか(今となってはTikTokなんでしょうか?)話の流れではなく目の前にあるものだけの世界というか、いやー時代だねーって話をした。

他のメンツの話をすると、しょっぱなに出た「見取り図」の知らない人ネタのスパンが長いのと短いのがはさまったりからまったりしてるのがおもしろかったのと、ツッコミで知らない言葉を急に使うけど意味がすんなりわかるのがよかった。言葉に対する姿勢が好きだと思った。

それからトムブラウン、急に奇声をあげたりするのと頭をガッとつかむツッコミが怖いのでおびえてたんだけど、なんだかクセになり何度か見てしまった。慣れてみると、一度つくった合成を次の合成に使って(またそれを次の合成に使って)、ちゃんと積み上げていることに気づいて、あれレベル高いのではと思ってしまった。カミナリのツッコミは痛そうでつらいけど、頭つかむのはそんなでもなさそうだし、ツッコミが「だめー」っていうの雑すぎて面白くなってしまった。でもとにかくカロリーが高い。中毒になっている間はいいけど、少し時間を置くと見られなくなる気がした。

こんなところでしょうか。日常的にお笑いを見ているわけではないのでしゃしゃってくるなという感じもあるんだろうけど、はじめはTwitterのTLで「あれ、今日?」ってなってたのが「録画しておこう」になり、今は「できるだけTwitterの反応見ながら観よう」って思って番組をみるために生活を切り上げたりしててお祭りみたいで楽しいなあと思いました。おわり。