バグってる
鍋から湯気があがっていくのを見てる。鍋から換気扇のフードまでのあいだ、空気がゆらめき、影が出る。台所の空気は油の粒子が浮いている。見えないけれどそんな感じ。いま煮られている肉をさっきまでこんがり焼いていたから。だから今この部屋にあるものは自分をふくめてぜんぶ、べたべたしている。がんばれ換気扇、しかし健闘むなしくべたべたになるわたしたち。こんがりの肉は薄い銅の色の風呂に入っている。長ねぎの先は青い。小さな泡が肉をつつんでいる。もしかして、あく。灰汁は除いてもいいし、ほっておくと消えてしまう。命みじかし、とるならば機を逃がさぬように。湯気もまた散って台所の空気になる。がんばれ換気扇。たべもののにおいも油もなにもかも吸い込め吸い込め。そうして外に棄ててしまえ。ちゅるちゅると吸われた飲料のパックを想像する。ぎゅるぎゅるとやせ細っていく。真空パック! 空気はどこからも逃げ、しかしなくならないね。不思議だね。不思議だね。
ぎゅうっとつめこまれた文字のかたまりは、段落は、なんだかブロック肉だなぁって思ってしまうんだよね。
そんなに、
だいじな
こと
書いて
ない
のに
ね
ケータイ小説は改行が多いのが特徴みたいなのあって、
そのすかすかの文学を笑う向きなどもあったけど、
今となっては、それも、ありな気がしている。
だってぎゅっとしてる文章なんて読みたくないじゃん。
心情的に読めないなってこともある。
今日職場でバグってしまったの(比喩)、社会人としては反省しなければならぬのと個人としては自分を褒めて慰めねば
— 紙 a.k.a. letofo (@isi_kami_hasami) 2017年11月14日
あかんことしたの、わかってて、してる最中もそれはあかんことってわかってて、でもなんか嫌で嫌でそうしてしまった。人間としての自分の感覚を優先してしまった。自分の感覚を大事にしたことは褒めよう。だれも褒めやしないので。進んでめためたになりたくはない。しかし自分でもあかんと思うので反芻してしまってよくないので、自分のことを大事にするという意味では、あれは乗り切らなければいけなかった。という教訓でやっていこうと思った。仕事のためじゃない。自分のためなのだ。
ミスした(っていうかあかんこと、って感じなんだけど)のバグったっていうとなんかかわいいから、やり直せそうな気がするから、この言い方を採用しようと思った。先日はバグったけど、次はうまくやる。
前の職のときは、仕事でこんなことする人ありえんと思ってたこと、いま現在ではその人たちの気持ちわかる派になってしまって、仕事に対する不真面目さとか不誠実さとかってその人に属するっていうより、仕事に対するモチベーションに属するものっていう気がしている。
好きなことを仕事にしたら辛いっていうの言われるけど、わたしにかんしてはある程度は好きな仕事でないとやっていけないということがわかった。人によるだろうけど、不誠実な自分、ぜんぜん好きになれないのだ。そこが適当な性格だったらよかったんだろうけど。人間の幅に対する見方は得られたけれど。
関係ないけどついでに書いておくと、「ものすごく好きなもの(趣味とか)があって、そのために平日はどんなにつらくてもがんばれる」人の話をきいて、それもあるんだっていうのは気づきだった。趣味に没頭するために仕事が邪魔だって思ってるもんな、自分。生き方について真面目に考えてたつもりだったけどけっきょく迷ってるまんまなのだった。人生わかんないのだった。