紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


知らない人

十年くらい前だったか、ともだち、がいなくなったことがあって、けっきょく見つかったんだけど、その間の一週間か二週間はそわそわしていた。べつにそんなに仲良くなかったんだけど、いってもそのとき数か月のつきあいだったし、かれにはもっと仲の良い人々がいたのだけど。そのときに携帯の番号とアドレスを知っているだけの人が生きていても生きていなくても、変わりはなくそこに数字や文字列があるだけでただ存在を盲信している。しんでしまった、またはいなくなったという報せで途端にゆらぎはじめるのが、わたし、ひとびと、そのかんけいのこと。いきていること、なんのしらせもないことに甘えていることを思いながら生きつづけている。その人は帰ってきたけど、けっきょくそのあとわたしとは二言三言やりとりをしたんだっけしなかったんだっけ。今はしらせがないから元気にやってるんだろうと思ってるけど、また失踪中なのかもしれない。携帯電話を変えたときに連絡先は手放してしまった。時代は変わったからSNSで見つけられてしまうのかもしれないけどね。家出もしづらい世の中。というのはまた別の話。