紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


ねむり

寝息というのはいいものだ。人でも動物でもなにかが安らかにしている音がする。いびきもよしあしだけど、撫でてあげたくなる。かわいい。同居人がさまざまな形で眠っていて、寝息がしないとこわいので近づいてたしかめる。生きていることはかわいい。ならんで寝転がって、思い思いに本を読んだり携帯端末をながめたりして、このまま寝てしまうこともできる。寝落ちというやつ。手に持っているものを伏せて目をつむる。それがやってくるねむりに対する誠実な態度。めがねは悪かったけどそのままで。隣人も静かにしていて、あ、ねむりがきた、と思った。角ばったかたちでハムみたいな色、蒲団をかけるみたいにねむりは自分をわれわれにかぶせる。ねむりってそういう感じ。