紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


watch your step

薄くて白い朝だった。簡単に突き破れそうな平坦な光が部屋をおおっていた。起き上がったヒナ氏がカーテンをあけて覗いて、小さくうめいた。冷える朝だが、自分ひとりでないと思えるのがよかった。職場からメールがきていた。いつもと同じく準備をして、いつもより念入りに防寒した。迷ったけれど買ったばかりのブーツ。滲みないだろうか。初雪。自宅勤務でもいいと言われたけれど。慎重に歩く。iPodで昔にきいたアルバムを選ぶ。ほとんどレゲエだった。そのせいでふわふわやってくる雪たちの気持ちが変わってしまった。雪とレゲエとブーツ。そういう詩みたいな朝。

職場にはさすが上司の方々は出てきていて、なぜかチョコレートを食べていた。そして、職場の若い人たちについてのプチ会議がひらかれていた。あの人たちは勘違いしていて困ったもんだよねっていう話。えらい人と若い人の間には年齢間の断絶というものが当然あるはずなので、そうよねそうよねと聞いていたけれど、いやでもそれはちょっと度し難いですねと思ったので真面目になった。

えらい人といっても、30代とかなので全然若い。若い人たちは25付近で。断絶するほどの年齢差でもないと思うのだけど、歴然と差があるみたいだ。わたしはどちらかといえば、えらい人のグループに入れてもらってる。ぺーぺーだけど。えらそうにしてるという意味では右に出るものはいない感じの。

おっと話がずれている。承認欲求を満たすのも内省力を涵養するのもはてなでブログを書いたらできますよ(もしかしたら炎上だってできるかも)と思ったけど言わなかった。ブログ脳だ。いや、はてな脳? かれらがブログを書いてるなら読みたいと思ってしまう。

遅くやってきた若い人に事務所の前を雪かきしてもらう。暖かい室内でぬくぬくしながらそれを見るのは少し罪悪感があった。「一緒にやろう」っていうのが誰にも葛藤がない方法なのかな。しかし葛藤を避けすぎた結果、朝の話のようになった気もした。葛藤を恐れすぎることはない。のか。やさしい純粋な欲望がどるどると渦巻いて、えらい人たちの善意を飲み込んでいく絵がうかんだ。

窓の向こうのかれの横顔。鼻の先の冷たさを想像する。かれにも家族がいて、恋人もいる。若い人がわからず屋だなんてのはやっぱりずっと続いてきたことで、最近の若者の質がって話でもなくて、ただの断絶話のひとつと考えた方が適切なのかもしれない。だからといって、葛藤を避けすぎるのはよろしくないと思っているよ。干渉して干渉されるのは大事だ。ってこっちだけが思ってるのがくやしいって話だよね。

とりあえず若いメンバーでの交換日記を勧めてみよう。たまには読ませてくれるといいな。