紙とくまの生活。
忘れるために書く日記。


シェフ - はじめに

   

 

今日は電車で山の方へ行った。

都会から離れるにつれて、楽しい思い出とつらい思い出がやってきて。ひどい別れをした人の思い出。そんなものは捨てちゃって、わたしは歩いていきたいんだけど。語らずにはいられない。気がする。
むかしの男がレギュラーの日記なんてサイアクだけど。数年を経てようやく記せるようになったようで。未練があるわけではない。サイアクだからね。あーまあ未練があるって思われてもいいか。思われたってしょうがないことを書きたいのだし。もうどうでもいいし、話をしてみてそれから決めよう。
かれの名前は仮に「シェフ」とします。ごはんをつくる人だったから。ふふ。

 

 

これが、現時点で下書き内に残っているかれ、「シェフ」のすべてです。ほんの数百文字。でも一年近く下書きに入ってるなんて、ばかみたいだ。

どこから説明したらいいだろうか。いきなり怒りながら書き出そうか。迷うことばかり。しかしこれはわたしの物語だから、だれも教えてはくれないのだ。

 

http://www.flickr.com/photos/68134194@N00/5961847891

photo by Adam Lerner

 

シェフは年上で、学生の頃、とある団体で出会った。宗教とかじゃないよ。マルチでもない。周りの学生が自分の問題とかで手いっぱいになっているのをよそ目に、その活動をちゃんとやっていて、リーダーシップもとれて、ユーモアがあった。ほかにも団体のリーダーをやったりして、忙しそうだった。大人に見えた。頼もしかった。

つきあったらつきあったで、これまた楽しかった。自分の車を持っていて(しかも外車だよー)、お酒の知識もあって、食事もつくってくれる。いろんなお店を知っているし、友人の幅が広い。感情は豊かで愛情表現も欠かさない。政治経済に対して、自分の意見を持っていて、思ったことはちゃんと言葉にする。でも、空気は読めるし、会話もすごく楽しい。人情に厚く、困った人を捨てておけない。正義漢。かと思えば、サブカルっぽい漫画とか小説の話もできる。音楽の趣味が合う。立派な夢があって、そのためにどうするか考えて実行していた。すぐに家族に紹介したいと言われるのをやんわり引き延ばして、一年後にご挨拶。うまく立ち回って気に入られたし、ご家族も癖はあるけど、根は悪い人ではない。

 

いやもうほんとね。いいとこしかない。すごい。いいとこしかないじゃん!!!

今となっては、こういう人がいるってきいたら性格破綻者なんじゃないかと思うけど(それはそれで極端)。完璧とは思わないけど、まーもーともかく欠点も愛嬌で。それすら人的魅力に思えていた。思えている。

 

やめてって言ってやめてくれなかったのは、道に唾(痰?)を吐くことと、お風呂でお酒を飲むこと。最後の方は飲酒後の説教癖に辟易してたっけ。タバコは吸わなかったけど、麻雀で徹夜して煙臭いこともあった。今なら、事のあとに感想をきいてくるやつは、なんであれダメだって思いますけどね。

 

ひどかったのは最後の一か月だ。あの気持ち。たぶん、世間の人の多くは経験していることでもあるのだろうけど。わたしはそれまで割とほわほわと生きていたので、他者との関係であんな気持ちになるとは想像できなかった。言ったら、どん底ですべての負の感情みたいなもののことだけど、でも逆に天国でめちゃくちゃ幸せって思ったこともなかった気がする。感情みたいなものにはセーブをかけて極値を避けて生きてきたのだと思う。それは今もあんまり変わってない。

 

悪口大会になりそうだ。どんな風に書けるだろうか。

もう何年も前の話で、とっくに過去で、解決してるはずなのに、それでもわだかまっていて、わたしはその穴の周りをぐるぐると歩き続けている。穴。欠損ではなく剰余でたんこぶみたいなものかもしれないとか思ったけど、前エントリで穴って書いたからとりあえず穴でいいや。

目標はこれまで通り、毎日エントリ。たまに普通に日記を書くかもしれない。書きたいときが書くときだからね。日記しか書かなくなったら逃げたなと思ってください。っていうかわたしが一番に思うわ。

行きつ戻りつしながらになりそうです。手法を変えて毎日同じこと書いてたら笑う。本当に整理されてなくて、いろいろな情景と感情、何度も自分に言い聞かせたフレーズなんかがそのまま、そのまま置いてある感じだ。保存され続けた事件現場みたいだ。証拠もたくさん落ちているままだ。混沌としている。少しずつ。少しずつ。